複数人での名刺交換のやり方とは？どちらが先？基本マナーや作法を紹介

「一度に何人かとやり取りをする場合、誰から渡せばいいの？」
「順番や立ち振る舞いを間違えて、失礼にならないか心配……」

こうした不安を抱える方に向けて、複数の方と名刺のやり取りをする際の作法をわかりやすく解説していきます。

ビジネスの現場では、1対1のやり取りだけでなく、数人が同席する会議や打ち合わせの場面も多くあります。

その際、円滑に行えるかどうかで、相手に与える第一印象は大きく変わります。

この記事を読めば、相手に失礼のない立ち振る舞いを身につけ、安心して名刺交換に臨めるでしょう。

複数人と名刺交換をする主なシーンとは？

数人での名刺交換は、ビジネスシーンのさまざまな場面で発生します。

代表的なケースとしては、以下が挙げられます。

• 訪問先で担当者が2人以上いる場合
• 上司や先輩と一緒に取引先を訪問する場合
• 交流会や展示会などのイベントに参加する場合

こうした場面では「誰から先に渡すべきか」「どのような順番で進めればよいか」といったマナーを理解しておくことが大切です。

複数人で名刺交換をするときの正しい順番

一度に数人と交換する際は、順番を意識するとスムーズに進められ、相手に失礼のない対応ができます。

基本的なルールは、以下の通りです。

• 来訪者から先に提示する
• 相手側のポジションが高い人から順に交換する
• 自分側が複数人の場合は「代表者」から順に進める

それぞれ詳しく解説します。

来訪者から先に提示する

名刺のやり取りでは、来訪した側から提示するのが基本です。

こちらが「お伺いする立場」であると示す意味があり、先に差し出すことで相手に敬意を伝えられます。

実際に渡す際は、以下の点を意識しましょう。

• 立った状態で行う
• 机越しは避ける
• 両手で渡す
• 相手が読みやすい向きで差し出す

この一連の動作によって、相手に好印象を与えるだけでなく、ビジネスの場にふさわしいスムーズなやり取りができます。

相手側のポジションが高い人から順に交換する

一度に数人とやり取りする場合は、相手のポジションが高い人から順に進めましょう。

たとえば「部長→課長→担当者」といった順番になります。

これは、組織における上下関係を尊重し、最上位の人物へ敬意を示すためです。順序を誤ると「立場を軽んじられた」と受け取られる可能性があるため注意が必要です。

とはいえ、初対面の場では役職がすぐにわからないケースもあります。その場合は、紹介された順番や席順を目安にしましょう。

特に会議室では、入り口から最も遠い席に座っている人が代表者や上位者である場合が多いとされています。迷ったときは慌てず、状況をよく観察した判断が大切です。

もし、どうしても判断に迷う場合は「順に伺わせていただきます」と伝えてから進めれば、失礼にあたりにくくなります。

自分側が何人かいる場合は「代表者」から順に進める

訪問する側がグループの場合は、自社の代表者（上司や先輩など）から順に進めるのがマナーです。

最初に代表者が交換すれば、組織としての立場や序列を明確に示せます。その後、残りのメンバーが役職順や年次順で続くと、自然でスムーズな流れになります。

一方で、全員が一度に交換を始めてしまうと、相手側も混乱し、役職の確認が難しくなってしまいます。

したがって、必ず代表者から順に進めましょう。そうすることで、お互いの関係性をわかりやすく整理でき、落ち着いた丁寧な印象を与えられます。

複数人の名刺交換で避けるべきNG行動

一度に数人とやり取りする場合は、基本マナーの遵守が信頼関係の第一歩になります。

逆に、ちょっとした所作の乱れや気配り不足は、相手に「常識をわきまえていない」と受け取られる可能性があります。

そこでここでは、やってはいけない代表的なNG行動をまとめました。これらを意識して避けるだけで、第一印象をぐっと高められます。

• 役職順を無視して交換する
• 一部の人とだけ交換して終えてしまう
• 相手の顔を見ずに下を向いたまま交換する
• テーブル越しに差し出す
• 財布やポケットから直接取り出す
• 次の人を重ねてしまう
• いただいた後すぐにしまう
• 企業ロゴや名前を指で隠して持つ

役職順を無視して交換する

まず、役職の高い人から順に進めることを徹底しましょう。

この順序を無視して下位の人から交換してしまうと、相手の組織内での序列を軽んじた印象を与えてしまうリスクがあります。

特に、上位者に対しては「自分の立場を理解していない」「礼儀を欠いている」と受け取られかねません。

名刺交換は、単なる情報交換ではなく、相手への敬意を示す大切な行為です。

相手の組織内で最も役職の高い人から先に渡すことで、「あなたを最も尊重しています」という意思を伝えられます。

一部の人とだけ交換して終えてしまう

特定の役職とだけ交換し、他の人には渡さずに終えてしまうのは、非常に失礼な行為にあたります。

このような行為は「あなたには興味がない」「あなたの立場を軽視している」というメッセージを暗に伝えてしまいかねません。

交換をしなかった相手からすると「自分は軽視された」「存在を無視された」と受け取られ、場の雰囲気を悪くしてしまう可能性があります。

特に、話を進める中で「実はその人が重要な決定権を持っていた」というケースも珍しくありません。交換を怠ったことで信頼を損ね、商談や協力関係に悪影響を与えるリスクがあるため注意しましょう。

相手の職務内容や役割がわからなくても、その場に同席している人は何らかの形でプロジェクトや商談に関わっている可能性が高いです。

したがって、同席者全員とのやり取りを原則にしましょう。立場に関わらず平等に敬意を示すことが、良好な関係構築の第一歩です。

相手の顔を見ずに下を向いたまま交換する

相手の顔を見ずに下を向いたまま差し出すのは、不快な印象を与えかねない行為です。

名刺交換は単なるカードの受け渡しではなく「初対面のあいさつ」そのものです。

視線を合わせずに下を向いたまま対応すると、相手に「自信がない」「誠意が感じられない」「ぞんざいに扱われた」と受け取られる可能性があります。

そのため、軽く会釈をしながら相手の目を見て、笑顔で手渡しましょう。受け取る際も、相手の顔を確認してから両手で受け取る姿勢が大切です。

緊張して視線を合わせづらい場合もあるかもしれませんが、一瞬でも相手の目を見てから、視線を手元に移すだけで丁寧さが伝わります。

テーブル越しに差し出す

テーブル越しに差し出すのもマナー違反です。

机を挟んで渡すと、横着でぞんざいな印象を与え「丁寧に対応する気持ちがない」と受け取られてしまう可能性があります。

また、テーブル上のコップや資料に触れて、名刺が傷んでしまうリスクもあります。

そのため、商談の場では「着席する前」に交換を済ませるのが一般的です。

もし、やむを得ず着席したまま交換する場合は、椅子から少し立ち上がるか、テーブルの端に回り込んで、相手の近くで渡すようにしましょう。

財布やポケットから直接取り出す

財布やポケットから直接取り出すのもマナー違反です。

財布やポケットはお金や日用品をしまう場所であり、そこから取り出すと「身だしなみに気を使わない人」「仕事が雑な人」など、だらしない印象を与えてしまいます。

さらに、財布やポケットに入れると他の物と擦れたり、汗で湿ったりして、折れや汚れが付くこともあります。

そのため、必ずケースに入れ、いつでもスムーズに取り出せるような準備が大切です。

名刺は、あなた自身や会社を象徴する大切なビジネスツールです。きちんと整った状態で差し出すことこそが、相手を思いやる姿勢を表す第一歩となります。

次の人を重ねてしまう

やり取りの間、そのまま次々と重ねてしまうのも大変失礼にあたります。

複数の名刺を重ねる行為は「あなたを軽んじている」「後から受け取った人を優先している」という印象を与えかねません。

特に上位者を下にしてしまうと、序列を無視した態度として受け取られる可能性があるため注意しましょう。

そのため、受け取った名刺は机の上に並べるのが基本です。

さらに着席順に並べておくと、相手の名前や役職を確認しやすく、会話の際にも役立ちます。また、最上位者の名刺をケースの上に載せると、より丁寧な印象を与えられます。

いただいた後すぐにしまう

相手からいただいた直後、すぐにケースやポケットへしまうのは、配慮を欠いた行為と受け取られる可能性があります。

繰り返しになりますが、名刺は相手の「顔」です。

受け取ってすぐにしまうと「関心がない」「軽んじられている」と誤解されかねません。せっかく丁寧に交換しても、その後の印象を損ねてしまうリスクがあります。

そのため、受け取った名刺は机の上に並べて置くのが基本です。

とはいえ、資料を広げるときや飲み物を置くときなど、どうしてもすぐにしまう必要がある場合も少なくありません。

その際は「汚してしまうといけませんので、名刺入れに大切にしまわせていただきます」と一言添えれば、失礼にあたりません。

企業ロゴや名前を指で隠して持つ

企業ロゴや相手の名前を指で隠してしまうのもNGです。

名刺は相手の「顔」そのものです。最も重要な部分であるロゴや名前を隠してしまうと、相手に「私のことを軽視しているのではないか」という不快感を与えてしまいます。

たとえ無意識であっても、相手にとっては失礼な行為に映る場合があります。

そのため、角やスペースを軽く持ち、ロゴや名前がしっかり見える状態で差し出すことを心がけましょう。

ほんの小さな仕草ですが、こうした配慮ひとつで「丁寧な人」「礼儀をわきまえている人」という好印象を与えられます。

複数人での名刺交換についてよくある疑問

ここでは、多くの人が疑問に感じやすいポイントをまとめました。

実際のビジネスシーンで迷わないよう、事前に確認しておきましょう。

• 同時に交換する場合はどうすればよい？
• 相手の役職がわからない場合はどうすればよい？
• いただいた名刺はどこに収納すればよい？並べ方のマナーはある？
• 人数が増えて名刺が足りなくなったらどうすればよい？

同時に交換する場合はどうすればよい？

ビジネスシーンでのやり取りは、基本的に1対1で行うのがマナーです。

複数人が同時に差し出す、あるいは受け取るような行為は、相手を軽んじているように見え、失礼にあたります。

もし複数人から同時に差し出された場合は、慌てずに以下のように対応しましょう。

• まず「順に失礼いたします」と一言添える
• 1人ずつ両手で受け取り、相手の名前を確認してから次の人へ進む
• 受け取った後はすぐに重ねず、机の上に並べて整理する

こうした流れを踏むことで、一人ひとりを大切にしている姿勢を示せます。多少時間がかかっても、丁寧に対応する姿勢が信頼につながります。

相手の役職がわからない場合はどうすればよい？

やり取りの際、相手の役職がわからず、誰から先に渡せばよいか迷うこともあります。

その場合は、以下の方法で対応しましょう。

• 紹介の順番を参考にする
• 席次を確認する
• 相手に促して出方を探る

多人数が参加する会議や商談の場では、主催者や代表者が役職の高い人から順に紹介してくれるのが一般的です。その順番を目安にすれば安心です。

また、会議室では入り口から遠い席や上座に座っている人が上位であるケースが多いため、座席位置も判断材料になります。

どうしても判断に迷う場合は、軽く会釈して相手の動きを確認するのも有効です。相手が先に提示すればそのまま受け取り、動きがなければ「順に失礼いたします」と声をかけて差し出せば問題ありません。

大切なのは、序列を完璧に見極めることではなく、相手へ敬意を払う姿勢です。多少順番が前後しても、誠実で丁寧な態度を心がければ、失礼にあたりません。

いただいた名刺はどこに収納すればよい？並べ方のマナーはある？

相手からいただいた後は、会話が終わるまで机の上に置いたままにしておきましょう。

すぐにしまってしまうと「あなたに興味がない」「名刺を大切に扱わない」という印象を与えてしまいます。

並べ方のポイントは、以下の通りです。

• 着席順に整理する（相手の氏名や役職を認識しやすくなります）
• 上位役職者の名刺を名刺入れの上に置く（より丁寧で誠意ある印象を与えます）
• 複数枚ある場合は横一列に並べる（相手を平等に尊重している姿勢が伝わります）

打ち合わせが終了したら「大切に保管させていただきます」と伝えてからしまうのが理想です。

どうしても机に置けない場合は「汚してしまうといけませんので、名刺入れに入れさせていただきます」と断りを入れれば失礼にあたりません。

名刺の扱い方は、そのまま相手への敬意の表れです。丁寧な並べ方と正しい収納タイミングを意識すれば、自然に信頼感を高められます。

人数が増えて名刺が足りなくなったらどうすればよい？

人数が増えて足りなくなった場合は、以下のように対応しましょう。

• 丁寧にお詫びを伝える
• 代替手段を提案する
• 後日に改めて郵送させていただく旨を伝える

お詫びを伝える際は「大変恐縮ですが、本日分の名刺を切らしてしまいまして……」といった一言を添えれば誠意が伝わります。

また、代替案として、連絡先を記載したメモや資料を渡したり、SNSやデジタル名刺を共有したりするのも有効です。

さらに、受け取れなかった相手には、後日にお詫びのメッセージを添えて郵送するのが理想です。

名刺が不足したからといって慌てる必要はありません。大切なのは、誠意をもって状況を説明し、必ず後日フォローする姿勢です。

その場での誠実な対応と後日のフォローを徹底すれば、当日に不足したとしても信頼関係を損なわずに済みます。

以下の記事では「渡せなかった際の対処法と再発防止策」についてさらに詳しく解説しています。今後に備えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

複数人との名刺交換で失敗しないためのコツ

多くの人とのやり取りでは、事前の準備が成功のカギを握ります。以下4つのコツを押さえておけば、慌てずスマートに対応できます。

1. 人数分をすぐに取り出せるように備える
2. 万が一に備えて予定枚数よりも多めに持参する
3. あらかじめ自社と相手の役職順を確認しておく
4. 相手の名前を口に出して確認しながら受け取る

人数分をすぐに取り出せるように備える

多くの人とやり取りする際は、必要な人数分をすぐに取り出せる準備が大切です。

財布やカバンの奥から探したり、ポケットの中をゴソゴソしたりすると「準備不足」「段取りが悪い」という印象を与えてしまいます。

そのため、事前に相手の人数を確認し、名刺入れの取り出しやすい位置に必要枚数をセットしておきましょう。

万が一に備えて予定枚数よりも多めに持参する

ビジネスの場では、想定以上の人との交流が生じる場合があります。

特に、展示会や交流会などのイベントでは、当初の想定より多くの人と出会うケースも珍しくありません。

そのため、予定している人数よりも多めの準備が大切です。

たとえば、打ち合わせで相手が3名と聞いていれば、倍の6〜10枚、交流会であれば数十枚単位で余裕を持って準備しておくと安心です。

名刺を切らしてしまうのは、大きなマナー違反です。相手に「軽視されている」「準備不足だ」と思われかねません。

こうした事態を避けるためにも、常に名刺入れとは別にカバンへ入れておくなど、日頃から「予備を持つ習慣」を身につけておきましょう。

少しの備えが、信頼を守る大きな安心につながります。

あらかじめ自社と相手の役職順を確認しておく

名刺のやり取りは、役職順を意識するのがマナーです。

順番を誤ると、相手に「自分たちの序列を理解していない」と思われ、印象を損ねる可能性があります。

そのため、打ち合わせや訪問の前には、あらかじめ自社内の誰が代表者として先に差し出すのかを確認しておきましょう。

上司や先輩と同行する場合は、代表者が最初に交換し、他のメンバーが続く流れを決めておくとスムーズです。

また、可能であれば、相手先の参加者についても事前に役職や担当を把握しておきましょう。事前情報がなければ、当日の紹介や席次を参考にすれば問題ありません。

相手の名前を口に出して確認しながら受け取る

受け取る際は、相手の名前を口に出して確認するのがおすすめです。

ただ受け取るだけでは事務的な印象になりがちですが「〇〇様でいらっしゃいますね」と復唱することで、丁寧さと誠意が伝わります。

相手は「自分のことをしっかり見て、きちんと認識してくれている」と感じ、安心感や信頼感を抱きやすくなります。

また、名前を声に出すことで記憶にも残りやすく、その後の会話で自然に名前を呼べるようになるメリットもあります。

デジタル名刺なら複数人でもスムーズに交換できる！

複数人とのやり取りは、順番やマナーに気を配る必要があり、準備や管理にも手間がかかるのが現実です。

普段よりもやや多めに用意したり、交換後に机の上に並べて整理したりと、ちょっとした気遣いが求められます。

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デジタル名刺は、複数人と一度に交換するシーンでもストレスなく活用できる、次世代の名刺交換ツールです。

複数人との名刺交換の機会が多い方はもちろん、スマートなビジネススタイルを目指す方にも最適な選択肢といえるでしょう。

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まとめ：複数人との名刺交換は立場と順番を意識しよう

複数人との名刺交換では、立場と順番を意識することが第一のマナーです。

• 訪問側から先に差し出す
• 役職の高い人から順に交換する
• 自社の代表者から始める

これら基本の流れを押さえるだけで、数人との名刺交換も落ち着いて対応でき、相手に好印象を与えられます。

さらに、複数人との交換が多い方には「デジタル名刺」の活用が有効です。名刺切れの心配がなく、最新情報を常に共有できるため、効率的かつスマートに対応できます。

複数人との名刺交換の機会がある方は、ぜひ今回紹介したマナーを実践し、スムーズなビジネスコミュニケーションを築いていきましょう。