名刺の勘定科目は何？迷わない判断基準と仕訳例をわかりやすく解説

「名刺の代金はどの勘定科目で処理すべきだろう？」

名刺はビジネスツールですが、使用目的によって勘定科目が変わるため、判断に迷いやすい経費のひとつです。

複数の科目に該当し、正しい処理をしないと帳簿の整合性が崩れたり、税務調査で指摘されたりするリスクがあります。

そこでこの記事では、名刺代に使える主な勘定科目を整理し、迷わず判断できるポイントと具体的な仕訳例をわかりやすく解説します。

読み終えるころには、名刺代の経費処理で困らなくなります。今日から自信を持って適切な処理を行い、経理業務の効率化を図りましょう。

名刺代の主な勘定科目

名刺代は、用途や作成方法によって計上できる勘定科目が変わります。

まずは、名刺代でよく使われる代表的な5つの勘定科目を整理しておきましょう。

以降では、それぞれの勘定科目で処理した場合の具体的な仕訳例を詳しく紹介します。

名刺代の勘定科目を消耗品費にしたときの仕訳例

最も一般的なのが、消耗品費として計上するケースです。

名刺は、日常業務で頻繁に使用し、比較的少額で繰り返し購入する傾向があります。よって、事務用品や文房具と同様に「消耗品」として扱われます。

▼仕訳例1：12,000円分の名刺を現金で購入した場合

なお、銀行振込やカード払いの場合は「現金」の部分を「普通預金」や「未払金」に置き換えて仕訳します。

▼仕訳例2：クレジットカードで購入し、後日引き落としされる仕訳

▼仕訳例3：名刺を銀行振込で購入した場合

名刺代の勘定科目を事務用品費にしたときの仕訳例

名刺を文房具や事務用品の一部として扱う社内ルールがある場合は、事務用品費として計上もできます。

消耗品費との違いは大きくありませんが、組織規模の大きい会社では、事務用品と消耗品を明確に区別して管理しているケースがあります。

▼仕訳例：12,000円分の名刺を現金で購入した場合

名刺代の勘定科目を広告宣伝費にしたときの仕訳例

名刺が単なる連絡先交換ではなく、不特定多数への配布や自社の商品・サービスをPRする目的が強い場合、広告宣伝費として計上するのが適切です。

特に、名刺にキャンペーン情報や製品の写真、企業ブランディングを目的とした特殊な加工が施されている場合は、広告物としての性質が強くなります。

▼仕訳例：12,000円分の名刺を現金で購入した場合

名刺代の勘定科目を印刷製本費にしたときの仕訳例

名刺作成を印刷会社へ外注した場合は、印刷製本費で計上することがあります。

特に、他の制作物（パンフレット・冊子など）の実費と区別して管理したいときに適した勘定科目です。

▼仕訳例：12,000円分の名刺を現金で購入した場合

名刺代の勘定科目を通信費にしたときの仕訳例

名刺代を通信費として計上するのは、クラウド型名刺管理システムやデジタル名刺サービスの「利用料」を支払う場合です。

これらの費用は、インターネットを通じた情報管理や連絡手段の維持費用と見なされるため、通信費として処理するのが適切です。

▼仕訳例：「クラウド型名刺管理サービス」や「デジタル名刺サービス」の月額利用料25,000円が普通預金から引き落とされた場合

名刺の勘定科目はどれが正しい？判断に迷わない3つの基準

名刺代は、使用目的やデザイン内容によって適切な勘定科目が変わるため、どれを選べばよいのか迷う方も少なくありません。

「消耗品で処理してよいのか？」「営業で配るから広告宣伝費？」などと迷った際は、以下3つの基準を参考にすると判断しやすくなります。

1. 主な使用目的で判断する
2. 宣伝要素の有無で判断する
3. 金額や使用頻度で判断する

主な使用目的で判断する

名刺代の勘定科目を判断する際に、最もシンプルで明確な基準が、その名刺の「主な使用目的」で区別することです。

名刺をどの場面で、どのような意図で配るのかによって、適切な勘定科目は変わります。

このように、名刺を「連絡先を伝えるための消耗品」と捉えるのか「自社の認知度を高めるための広告物」と捉えるのかによって勘定科目は変わります。

宣伝要素の有無で判断する

本来、名刺は自己紹介と連絡先交換のためのビジネスツールですが、内容によっては広告物としての性質が強まることがあります。

たとえば、以下のような情報が含まれている場合は「自社の認知度向上や集客を目的とした広告物」と判断される可能性が高いです。

• 商品・サービスの画像や紹介文
• キャンペーン情報
• 企業サイトやサービス詳細へのQRコード

名刺が単なる連絡先情報ではなく、営業ツールやミニパンフレットとしての役割を兼ねている場合は「広告宣伝費」として計上するとよいでしょう。

金額や使用頻度で判断する

勘定科目の判断に迷う際、最後に確認したいのが「発注金額の大小」と「使用頻度」です。

名刺にどれくらいの費用をかけているか、どの程度の頻度で発注しているかによって、適切な科目が変わります。

たとえば、少額で定期的に発注する名刺は、繰り返し消費されるため「消耗品費」として扱うのが一般的です。

一方で、特殊加工や高級紙の使用、大量印刷などで費用が大きくなる場合は、宣伝物としての性質が強くなります。よって「広告宣伝費」で処理するのが適切です。

名刺費用を仕訳する際の注意点

名刺の費用は、比較的シンプルな経費ですが、処理方法を間違えると帳簿の整合性が崩れたり、税務調査で指摘される可能性があります。

経理の正確性と税務上のリスク回避のために、以下3つの注意点を必ず守りましょう。

1. 雑費で処理するのは避ける
2. 一度決めたら同じ勘定科目で仕訳する
3. 事業との関係性が低い場合は経費にできない

雑費で処理するのは避ける

雑費は「用途がはっきりしない少額の支出」に用いられる科目であり、名刺代のように明確な目的がある費用を分類するには適していません。

雑費の金額が大きくなると、税務調査の際に「この支出は何に使ったのか？」と細かく質問されるリスクが高まります。

必要以上の確認や説明が求められる可能性があるため、むやみに雑費へ分類しないよう注意しましょう。

一度決めたら同じ勘定科目で仕訳する

名刺代をどの勘定科目で処理するかを決めたら、毎回同じ科目で仕訳しましょう。

同じ種類の名刺を、時期や担当者によって異なる勘定科目で処理してしまうと、帳簿の整合性が崩れ、費用の管理が不正確になります。

さらに、決算時の修正作業が増えたり、税務調査で「なぜ分類が統一されていないのか」と指摘される可能性もあります。

そのため、あらかじめ社内でルールを決め、一貫した基準で計上することが重要です。

事業との関係性が低い場合は経費にできない

名刺代を経費として計上できるのは、事業に直接関係する用途に限られます。

名刺は本来、営業活動や業務上の連絡手段として使用するものです。そのため、事業と関係のない目的で作成した名刺は経費として認められません。

たとえば、以下のようなケースは経費の計上が難しくなります。

• 趣味活動のために作成した名刺
• 仕事に関係ないイベントで使う名刺
• ボランティア活動専用の名刺

経費として計上する場合は、その名刺が具体的に事業の売上や維持・顧客獲得に結びついていることを説明できるかどうかが重要です。

名刺の勘定科目についてよく寄せられる質問

ここでは、名刺の勘定科目・経費処理についてよく寄せられる質問に回答します。

• 個人事業主でも名刺代は経費にできますか？
• デザイン料と印刷費は別々に計上すべきですか？
• 名刺入れの勘定科目は何になりますか？
• デジタル名刺の勘定科目は何になりますか？

個人事業主でも名刺代は経費にできますか？

個人事業主でも名刺代は経費にできます。

法人・個人にかかわらず、名刺は事業を遂行するために必要なツールです。

そのため「自己紹介」や「業務上の連絡手段」として使用する名刺であれば、問題なく経費として計上できます。

また、個人事業主の場合も、勘定科目は法人の場合と同様に「消耗品費」や「広告宣伝費」を使用するのが一般的です。

デザイン料と印刷費は別々に計上すべきですか？

基本的には合算して「消耗品費」や「広告宣伝費」でまとめて処理して問題ありません。

名刺のデザイン料と印刷費は、本来別の性質を持つ費用です。

しかし、請求書がセット料金になっている場合や、細かく分ける必要がない場合は、ひとつの勘定科目にまとめて計上して構いません。

いずれにせよ、一度決めたルールを継続して適用することが重要です。

名刺入れの勘定科目は何になりますか？

名刺入れの勘定科目は「消耗品費」または「事務用品費」を使用します。事業活動で繰り返し使用される備品として扱われるためです。

使い分けの目安としては、以下を基準にするとよいでしょう。

• 消耗品：日常的に使用する少額備品として処理する場合
• 事務用品費：事務用品を細かく区分して管理したい場合

ただし、10万円を超える高級品の場合は「工具器具備品」として固定資産計上し、減価償却が必要になります。購入金額や利用期間を踏まえて、適切な科目を選びましょう。

デジタル名刺の勘定科目は何になりますか？

デジタル名刺の勘定科目は「通信費」または「消耗品費」を使用します。

使い分けは、以下の通りです。

• 通信費：月額または年額料金制の場合
• 消耗品費：買い切りで購入した場合

月額制（年額制）は、インターネットを介したサービス継続利用の対価であるため「通信費」として処理します。

一方、一度の購入で永続的に利用できる買い切り型の場合は、少額の備品購入に近い性質を持つため「消耗品費」として処理するのが一般的です。

デジタル名刺で経費処理がスムーズになる理由

近年、紙の名刺からデジタル名刺へ移行する企業が増えています。

デジタル名刺は環境面でのメリットだけでなく、経費処理を大幅に効率化できる点でも注目されています。

具体的な理由は、以下の通りです。

• ペーパーレス化で印刷の手配が不要
• 買い切り型なら経費処理が初回のみで済む

紙の名刺は、部署異動・人事異動・肩書変更などのたびに再印刷が必要になり、その都度、発注と経費計上の手続きが発生していました。

しかし、デジタル名刺なら、情報を更新するだけで即時反映できます。これにより、再印刷の費用が不要になり、名刺に関する経費処理がシンプルになります。

さらに、買い切り型のデジタル名刺サービスは、一度料金を支払えば長期間利用可能です。経費処理は初回のみで完結し、月ごとの仕訳や請求書処理が不要になるため、経理担当者の負担が大幅に軽減されます。

こうした理由から、特に小規模事業者や個人事業主にとって、デジタル名刺は経費処理の効率化に大きく貢献します。

デジタル名刺を使うメリットや仕組みについては、以下の記事でより詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひあわせてご覧ください。

名刺代の経費処理もスマートになるデジタル名刺ならMEETタッチ名刺

名刺の印刷費や在庫管理、再発注の手間をなくしたい企業には、MEETタッチ名刺がおすすめです。

紙の名刺では当たり前だったさまざまな作業をデジタル化することで、経費処理を大きく効率化できます。

MEETタッチ名刺の主な特徴

• 2,980円〜の買い切り型プラン
• 情報更新もオンラインで編集するだけで即時反映
• 掲載情報やデザインを自由にカスタマイズ
• 専用カードをスマホにタッチするだけで共有（相手にアプリは不要）
• カードのオリジナル印刷には高耐久・高精細のUVプリントを採用

名刺交換をスマートにするだけでなく、経理処理の負担も軽減したい方は、ぜひMEETタッチ名刺をご活用ください。

＼今なら限定キャンペーン実施中／

MEETタッチ名刺をみてみる

まとめ：名刺の勘定科目は使い方に合わせて正しく判断しよう

名刺の勘定科目は、使用目的やデザインによって適切な科目が変わります。

どの勘定科目で処理するべきか迷ったときは、名刺がどのような意図で使われるのかを基準に判断しましょう。

• 消耗品費：日常的な業務で使用する場合
• 広告宣伝費：展示会・営業活動など販促目的で配布する場合
• 印刷製本費：印刷会社へ外注し、他の制作実費と分けて管理したい場合
• 事務用品費：社内ルールで名刺を事務用品として扱う場合
• 通信費：デジタル名刺や名刺管理サービスの利用料を支払う場合

また、一度勘定科目を決めたら継続して同じ科目を使うこと、事業との関連性があるかを確認することも欠かせません。

本記事の内容を参考に、適切な科目を選び、正確な経理処理を行いましょう。